黒ちゃん奮戦記

国保の制度疲労について伺います

2017-10-04

高すぎて払えない保険料の改善と国保制度の制度疲労について伺います。

保険料の現状について

 国保では、加入者は貧困なのに、保険料は高いという「国保の構造問題」が深刻となっています。有識者も「制度疲労」を指摘するまでになっています。

 国保加入者の平均所得は今や「130万円」台にまで落ち込みました。その一方国保料は1980年代が3~4万円、1990年代が6~7万円、2000年代以後は8~9万円と上がり続けています。これでは滞納が増えるのは当然です。

 社会保障としての公的保険は「保険弱者」ほど保険料が高くなる”逆転現象“を防止するため、国庫負担の導入で財政安定化と負担緩和を図ることが原則とされています。ところが自民党政権は国庫負担を減らし続けながらもっぱら”短期証、資格証明書発行など“滞納者の締め上げで乗り切ろうとしてきました。国保納税者に対する差し押さえの件数は全国でも3倍化近くになっています。保険料の均等割り額の軽減が低所得層にありますがこの制度がはたして機能を発揮しているか疑問視せざるを得ない状況が見えてきています。

 いただいた資料からは7割軽減される32,771世帯の内、10,732世帯に督促状、不納欠損世帯59世帯、差し押さえ件数19世帯、全体でも300世帯で差し押さえが執行されています。「区が減免制度もやっておりますので」とこれまで答弁してきましたがこの制度が充分に有効性を発揮しているとすれば7割も減免すれば1人も督促状をだす必要など無い状態にしないといけないと思います。

 これでは、確かに制度疲労を示しているのではないでしょうか。

質問事項

現状への分析と代替案について伺います。

Q1、7割減免者にも出されている督促状は、年度別には26年度11,433世帯、27年度11,072世帯、28年度32771世帯といずれも約30%です。7割減免してもなお、30%台の督促状発送というのは制度が疲弊していることを物語ります。この分析をしないで差し押さえに血眼になっても不納欠損にも現れているように区民を苦しめるだけではないでしょうか。なぜこうした状況が続くのでしょうか、どう分析しているかお聞かせください。

それではなぜこのように増えてきたのかわかりません。保険料が高すぎること以外に考えられません。やはり、2005年には78565円だった保険料が11年後の2016年には111189円と1.42倍です。この間平均収入は下がっています。

Q2,現行の減免制度では救えないとすれば、有効性を発揮できていないということになります。督促状を出さなくてもよい減免制度にするにはフランスの日本の生活保護に当たる公的扶助とは別に、医療保険料を払えない低所得者の保険料を公費で賄う仕組み、CMU、あるいはドイツの貧困に陥った医療保険加入者の保険料を国が肩代わりする制度が整備など日本でも「恒常的減免制度」を確立すべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。

国保料が高すぎる、払えないほど高すぎるから、国保に加入する貧困層・境界層を救えず、保険証取り上げや滞納処分に追い込んだり、生活保護に追いやる重大な要因となっている現行制度では社会保障としての制度が成り立っていると言えません。なぜそうなっているかというと社会保障に対する正確な認識を著しく欠いたゆがんだ行政になっているからだと思います。

大田区の国保行政について伺います。

Q3、社会保障の9割を占めているのが社会保険です。社会保険には社会原理と保険原理があります。社会原理は自己責任や相互扶助では対応できない病気、老齢、障害などに対して、社会的な対応を行うもので、国庫負担などの根拠になります。一方、保険料を納めた者のみにサービスを提供するというものです。

大田の国保の担当課は国保料を滞納している区民に保険原理のみを強調していると言えます。これは公平性に欠けるとともに社会保障に対する正確な認識を著しく欠くことになります。

自助努力や家族や地域の助け合いでは対応できないからこそ、公的責任で対応するという社会保障が生み出されたのです。差し押さえや短期証、などは「保険料を納めた者のみにサービスを提供する」という保険原理のみを強調するゆがみを正し、社会原理に基づく正確な社会保障としての国保行政を求めます。お答えください。

最後に

最後に、悪質滞納者が増えたのではありありませんから正確な社会保障としての国保行政の具体化として、保健原理に基づく、一律に機械的な差し押さえに走ることなく、社会原理に基づく、収納活動を貧困把握の入り口と位置付け、積極的に減免制度や福祉施策につなげる方向へ転換することを求め質問を終わります。

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