平成28年第1回定例会 最終日の反対討論
私は、日本共産党区議団を代表して
第1号議案
2016年度大田区一般会計予算の編成替えを求める動議に賛成し、第1号議案 2016年度大田区一般会計予算、第2号議案 大田区国民健康保険事業特別会計予算、第3号議案 大田区後期高齢者医療特別会計予算、第4号議案 大田区介護保険特別会計予算に反対する討論を行います。
2016年度大田区一般会計予算は、新年度予算には、私立認可保育所7か所開設・整備、出産・育児支援事業、子育て支援遊び場事業、学校図書室に読書教育司書を小中学校30校に配置する、スクールソーシャルワーカーの増員、住宅リフォーム助成が5000万円に増額、障がい者緊急入所施設の新規建設、特養ホーム(矢口、千鳥2か所)、認知症高齢者グループホーム整備費補助、小規模多機能型居宅介護事業所整備費補助、24時間AED設置補助、分譲マンションの耐震アドバイサー派遣の充実、繁盛店創出事業に改装も対象にする等、党区議団の提案や区民の声に応えたものであり、評価できます。奨学金貸付条例の通信制高校生への拡充や、子どもの貧困対策が国の制度改正を受けて、前進しているのも評価できることです。
区民の実態は、円安と一昨年4月の消費税の影響で消費不況ともいえる深刻な状況です。相次ぐ社会保障の削減・負担増が、くらしを圧迫しており、区民のくらし・営業の直接支援の予算が求められています。そういう区民の願いに応える予算でしょうか。
反対の理由は
第1に区民へ更なる負担増と施策の削減を進めていることです。
負担増は、まず使用料の大幅値上げです。20件の議案が出され、受益者負担の適正化に向けた施設使用料の見直しについて、17年値上げをしなかったから、と「統一的な施設使用料算定についての基本的な考え方」を整理し、施設使用料の見える化をはかるとして、54施設および小中学校の約8割の区分について最大25%の値上げを押し付けるもので、今後4年ごとに見直しを行うものです。使用料の算定基礎に職員人件費や減価償却費を加えるのは、地方自治法244条第1項で「住民の福祉を増進する目的を持ってその利用に供するための施設」として設置が義務付けられており、住民の無差別・平等という利用原則から、区民使用に格差をもたらすもので問題です。
施策の削減では、指定保養施設は、27年続いた1泊3000円の補助金を今年度2000円に減らし、さらに新年度は広い区民の利用を目的にするためとの理由で年間6泊7日から、2泊3日まで利用を制限しようとしています。
高齢者には、70歳以上の全ての高齢者に支給される「いきいき高齢者入浴事業」は、高齢者本人には手続きも手間がかかる変更をした上に、予算を2割も減らしました。一方で、特区民泊関連事業で外国人の来訪者のため便宜を図ることは、区民の納得を得られません。また、いこいの家を改修する際に、浴槽をなくし、シャワーだけにするなど、高齢者の生活を奪うことです。
さらに、要介護高齢者紙おむつの支給廃止は、要支援の人から紙おむつを奪うものです。自立となった人の住宅改修助成を行わないというのも、高齢者支援とは逆行します。
産業経済費は37億8千万円余で予算全体の僅か1.46%です。新年度予算には、従来の施策だけであり、モノづくり産業等実態調査の結果を活かしていないのも問題です。新しい総合的で抜本的な振興策が必要です。
民泊については、違法な民泊がなくならず、区民の安心安全は守られません。更に今後の計画として、おととい23日にまとめた保育料(保育園・学童保育)のあり方に関する報告書では、0歳児の保育料は、人件費を含めて60万円を超えており、1,2歳児の2倍以上の経費がかかっている。として0歳児の保育料の大幅な値上げを検討するとしていますが、保育料に職員人件費を算入することは問題です。
反対の第二の理由は
民間委託や指定管理者制度で、「民間にできることは民間へ」と職員削減をすすめ、官製ワーキングプアを増やしていることです。
今定例会に46人職員定数削減条例が提出されていますが。大田区は職員定数減を3か年で227人減とする計画を進めていますが、民営化、業務委託、指定管理者制度を進め、区の仕事を担う労働者は、非正規雇用が約4割となり、派遣会社に委託した場合には何人で働いているのかもわからない状況です。区民サービスの低下が問題となっています。
反対の第三の理由は
区民に負担増を押し付ける一方で、東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、「国際都市おおた」の実現、次世代に「夢と遺産(レガシー)」を残す取組みで、大規模開発推進となっていることです。
新空港線「蒲蒲線」は、昨年7月、東京都の「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」で「整備について優先的に検討すべき路線」の5路線に入らず、半ば破綻しているにもかかわらず、区長は「30年の区民の悲願として、私が先頭に立って実現する」という姿勢を続けています。更に新空港線整備資金積立基金はさらに5億円の積立で、合計25億円余の積立となります。
京急蒲田、糀谷駅前再開発で、住民が4割しか残れないまちづくりに多額の税金投入し、更に雑色駅前再開発がすすめる京急関連駅周辺のまちづくりに、6億3千万円余が計上されています。蒲田・大森駅周辺のまちづくりでは、蒲田駅周辺中長期整備推進業務委託で、駅周辺街区の共同化や建替え支援を行うことにより、住民追い出しにつながりかねません。
党区議団は、大規模開発優先から区民の暮らし福祉応援の予算へ抜本的な転換を求めます。
予算特別委員会での組替え提案は、区民のくらしと営業を守るための緊急の提案で、待機児童1736人に見合うように、認可保育園20箇所を増設する、1300人の待機者のために特養ホーム10箇所建設、中小企業の支援として特に、ものづくり産業等実態調査検討委員会の設置、市場開拓推進員の雇用、工場家賃助成の実施、ものづくり経営革新緊急助成及び中小事業者の後継者助成の実施すること、後期高齢者の医療費の通院・入院の半額助成をするものです。
また、不要不急の事業の減額では、セーラム市親善訪問、大連市親善訪問、及び区政施策調査の中止としました。また、総務管理費の人権推進事業のうち同和対策にかかる経費を減額、都市整備費のうち新空港線整備資金積立基金積立金を減額、京急関連駅周辺まちづくりの実施、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成などを削減しました。総額103億円余での増額で予算の僅か予算全体の4%です。
本会議では、緊急性が高い80人定員の認可保育所20カ所の増設の組み替えを提出しました。
保育園の待機児童の問題は、今年ますます入所希望児が増え、1次不承諾は1786人になりました。「保育園に入れない日本死ね!」とブログに書いた人がいて、共感した多くの人が保育園に入れなかったのは『私だ』と国会前に集まり、署名も2万人以上集まり、さすがの安倍内閣も無視できなくなりました。 23日に、「国会大作戦」と題する院内集会が開かれ、安心して預けられる保育園の増設を求めるママやパパ、待遇改善を求める保育士らがソーシャル・ネットワーキング・サービスの呼びかけで集まりました。この集会には、日本共産党、民主党、維新の党、社民党、公明党の国会議員や省庁関係者も出席しました。
先日新聞の投稿に、大学病院で出産する看護師がいて、組合で院内保育所をと要求したが、設置されず、やむなく産休明けにお子さんを連れて出勤し総婦長室に預けて働いたという経験が出ていました。病院では1週間たたないうちに、院内保育所を作ったそうです。総括質議でも「区長室や議会の会議室など使って、緊急保育所を作ったらどうか」と提案していますが、今はまさに、そういう緊急対策を行うべき時です。また、待機児童保育園も考えることです。よって、この組替えに動議に大賛成です。
次に予算特別委員会で要望した事項について申し上げます。
子育て支援こども遊び場整備事業は、園庭がない保育園が増えている中、整備には、利用している全ての保育園保育園の声を聴いて進めること。また、保育園が利用している需要が多い公園を優先してすすめるべき。
保育従事職員宿舎借り上げ支援事業対象を保育士・看護師以外にも広げ、保育施設で働く全ての人・職種への拡大すること。
特に3歳児の待機児童を出さないために小規模保育所よりも認可保育園の増設を求める。
公営住宅入居資格及びその賃料等の算定や保育料などへの寡婦(夫)控除のみなし適用をおこなうこと。
ものづくり産業の取引拡大支援の強化、区外を回り仕事の確保する施設の充実・強化をすること。
学校踏切の早期廃止と住民の希望に沿った代替施設を早期整備すること。
国民健康保険料へ介護保険制度にあるような境界層措置を導入すること。
空港機能強化による増便・新飛行経路計画について、国土交通省に大田区内の影響を明らかにさせ、区民に知らせること、教室型の説明会を開くよう求めること。産業道路から空港までの幹線道路付近に大気汚染の測定所の設置をおこなうこと。
がん検診は無料化とし、予定数を超える区民が検診を受けるよう努力すること。
前立腺がん検診を50歳以上の男性が受けられるようにすべきです。
知的、視・聴覚障がいをはじめ障がいのある区民のがん検診が受けやすくできるようにがん検診のお知らせの見直しを行うこと。障害者も含めて「がん検診の充実」を強く求めます。
JR蒲田駅東口の信号と信号の間の喫煙所、JR大森駅東口バス停前の広場の喫煙所は移転するか煙が通行人やバスを待っている方にかからないような対策をすること。
平和島駅の横断歩道を改善すること。緊急に警備員の配置を求めること。
新総合事業になることにより、介護が受けられない人が出ないような対応をすべき。
区民施設の備品・設備の改善を求める。
データヘルス計画に基づく保健事業については、糖尿病性腎症の悪化を防ぐのに、3期4期のスタートでは遅いので、1期2期から対応するすること。
今議会に、大田区の奨学金貸付制度について、通信制高校生まで制度改善されたことは、区民の願いに応えることであり、大賛成です。制度改善には4会派の幹事長が要望書を出し、条例提案に至ったものです。また、党区議団にも、区民の方から「条例の改正を議会みんなで、審議してください」との手紙もいただいています。さらに、給付型にするなど改善を求めます。
第2号議案
大田区国民健康保険事業特別会計予算は、区民の健康の面でも、基本健康診査は2100人分減らし、39歳以下区民健康診査180人分減らしています。健診の受診率が下がると、総医療費が増えることについての区の検証が十分でないということです。今年も大幅値上げになり、受診抑制を行うものであること、差し押さえを行い、報奨金を受けとって、更に区民いじめを進めることになるので、反対です。委員会質疑の中では、値上げになる世帯は99.4%であり、値下げになる世帯はたったの0.6%であることが明らかになりました。国民健康保険料の大幅値上げは、国庫補助金の削減にあることは明白ですから、国に50%の補助率に戻すことを要請すること、区も独自支援を行うことです。
第3号議案
大田区後期高齢者医療特別会計予算は75歳以上の医療を国保から切り離し、年齢による差別を命のありように持ち込む制度そのものに反対です。
第4号議案
大田区介護保険特別会計予算は新総合事業として、2018年度までみなし事業として、現在のサービスを続けるとしていますが、要支援1,2を介護保険給付からはずすことが狙われており、反対です。
最後に、日本共産党大田区議団は、9名で区議会第三党にも関わらず、今期議会役職である正副委員長は、1人もいません。本来議会役職は、区民の声を反映するため、昨年の区議会議員選挙の結果を踏まえて、議席数に応じて配分することを求めておきます。
以上で討論を終わります。