平成29年第1回定例会しめくくり総括質疑・質問のみ
新空港線計画に関して
まず、新空港線計画に関して質問します。今回の新空港線計画は、京急蒲田駅までの計画だけで京急蒲田駅から空港までの計画がありません。これでは所謂「蒲蒲線」です。空港まで延伸する計画を示さずに進めることはそうできない理由、あるいは困難理由があることになります。
Q、日本共産党大田区議団は新空港線計画には、大規模開発であり、大企業だけを潤すもので、区内素通りの計画は圧倒的な区民の利益にもならず、基本的に反対で所謂「蒲蒲線」の実現こその立場ですが「なぜ、空港まで示せないのでしょうか。お聞きします。
Q、二つ目に、京急の空港線ダイヤに東急が何本割り込めるかです。ほとんど不可能だと思います。お聞きします。
事業費について
次に事業費についてお聞きします。大田区のホームページにも書かれていますが、整備主体の整備財源については、都市鉄道利便増進事業における財源スキームとして、(補助金:1/3国、1/3地方自治体、鉄道整備主体自らの借入金:1/3)と想定する。となっています。東京都が応じなければ地方自治体の持ち分3分の1の負担を大田区だけで負わなければなりません。これまでは総工費1080億円でしたから360億円です。しかし、昨年、国が発表した試算では矢口渡から大鳥居まで1800億円、京急蒲田までは1300億円となっていますから今は600億円を超えます。さらに京急蒲田から空港までとなると、どこまで増えてしまうのか計り知れません。無謀と言うしかありません。その上に今回、区が主張している第三セクター方式で行うというのですから、鉄道整備主体にも加わることになります。第三セクター方式は全国で失敗していて各行政が大きな財政負担を背負っています。最近大都市における第三セクター破綻の例として、平成17年、ビル賃貸業を営む臨界副都心の東京都が出資する2社(東京フアッションタウン、タイム24)が民事再生法、平成16年には大阪府が出資する商業施設運営の3社が特定調停の例があります。
大田区もその危険を背負うことになります。1000億円近くになることも考えられます。大田区にその財政力はあるでしょうか。このようなことになれば、区民を生活と営業を支える財源は無くなってしまいます。
具体的には、第三セクターの破綻は金融と財政の両面を通じて悪影響を与えます。金融面では信用金庫など地域金融機関の再建が焦げ付くなど、財政面では自治体が損失の一部を補てんせざるを得ないなど追加の財政支出を余儀なくされます。最終的には納税者である区民の負担増につながる恐れがあります。
Q、そこでお聞きします、なぜ第三セクター方式を選ぶのか、お答えください。
Q、もしかして、このような計画になかなか乗ろうとする民間事業者がいないわけですから、リスクは区が受け持つからという安全弁を与えるためとも受け止められますがいかがでしょうか、お答えください。
こうした見通しの無い、危険な計画に新年度予算でさらに10億円の基金積み立ては止めるとともに基金総額の25億円を廃止し、区民の社会保障の充実と中小企業など区民の生活向上に充てるべきです。
二つ目は羽田空港跡地まちつくり推進計画についてお尋ねします。
最初に、総括質問の際に、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会の議事録は「非公開です」との答弁でした。このことに関して一言述べます。
何故非公開なのか、そこには情報公開請求権が国民の「知る権利」に基づく憲法上の権利であるとの視点がありません。今回の非公開はこの立場ではありませんか。行政運営の原則公開を基本方針とすべきという臨時行政調査会最終答申の提言にも合わないものです。どのような発言をしたか区民に知らされないままトップダウンで進められて行くことは認められません。改めることを求めておきます。
総括質問で事実と認識が違っていた3点を修正
次に、総括質問で事実と認識が違っていた3点を修正しておきます。
一つは、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会の会議場所が首相官邸の隣程にあります内閣府本府庁舎に正します。二つ目は羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会が連携はとりますが特区会議そのものでなく地方創生法に基づく委員会ということです。三つ目は二名の部長が参加している分科会メンバーの資料が提出されていないと言いましたが羽空特別委員会に口頭で報告はされていました。以上訂正しておきます。
「地方創生」の「まち・ひと・しごと創生総合戦略(5か年計画)で「世界で一番ビジネスのしやすい環境づくりを地方を舞台にしてすすめることに主眼がありそれを「ローカルアベノミクス」と言っていることを改めて認識しました。羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会は、正に特区構想と一体です。羽田空港跡地計画は、改めて大企業のためにはなっても、大田区の中小企業のためにならないことも認識しました。総括質問の答弁でも証明されましたが、医工連携関連企業は大田区で30数社しか把握していないとの答弁でした。加えて先端技術ですからロボット分野くらいです。区内3481社が利用できる施策では到底ありません。8割近い区内小規模企業が求めているのは、ものづくり補助金や後継者育成などの補助金の大幅な拡充と下請二法の、特に下請振興法の仕事の確保です。そのためにも小規模企業振興法の制定を求めます。
Q、質問します。H27年5月18日の「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会の会議録に第1ゾーン整備で国土交通省航空局において第1ゾーンの土地譲渡に向けた関係者との調整を進めるとありますが約2年が経とうとしています。大田区実施計画案でH30年の投資的経費が前年の倍以上506億円と非常に多額になっています。委員会では空港跡地に関する財源と答弁していますが跡地購入費でしょうか、お答えください。
平成23年に策定された「羽田空港跡地計画に関する調査」第1ゾーンの検討」報告書によれば、3種類の想定がありますが約351億円です他に基盤整備費約71億円、施設整備費約351億円、他に土地代が200億円とすれば合計622億円という巨額な金額になります。さらに建設後も維持管理費という経常経費が必要になります。特区制度をどれだけ活用できるかわかりませんが区の持ち出し分は数百億円超となります。羽田空港対策積立基金の172億円程では足りないし、2600億余の大田区一般会計からすれば巨額に変わりはありません。
Q、お聞きします。2600億円規模の自治体のこなせる事業でしょうか、平成28年の企画経営部長の依命通達では、10年後の大田区の財源が区債残高988億円、主な基金残高137億円と見通し、約500億円の財政ねん出が必要、つまり不足すると今後の財政見通しをしていながら大型開発とは無責任です。お答えください。
大田区の国への提案
次に、さまざまなメニューを大田区は国に提案しています。区内中小企業と海外や国内企業との受注に向けた市場開拓のイノベーションを図るワンストップ機能としていますが実現可能かどうか全く分からないものです。また、東京都のアジアヘッドクォーター構想も単なる都市開発であってゼネコンやデベロッパーが主導する開発に東京都が乗っかっているだけの話です。そもそもなぜ外国企業の誘致なのか不可解です。外国企業が東南アジアに進出するのは何よりも需要があること、低廉な人件費、英語圏であることです。実現可能かもわからないメニューで、外国企業が来るかどうかも分からない条件で成功する保証はありません。それなのにこの財政負担です。
Q、これらの財政負担は過大となり、間違いなく後世の区民に区の財政負担を残すことになります。産業施設は産業だけの話であり、区民の広場はほんのわずかで区民全体が享受する土地利用となっていません。昭和49年3月号の大田区報一面に載った「10年後は区民の緑地に」ならすべての区民の利益になっていたのは間違いありません。区民が納得するでしょうか」お聞きします。
以上で締めくくり質問を終わります。