大田区中小企業・小規模企業振興条例(案)
大田区中小企業・小規模企業振興条例(案)
2019年1月16日
訂正2019年2月7日
日本共産党大田区議団
大田区内で中小規模の商業、工業を営むもの(以下中小企業・小規模企業という。)並びに大田区内で働くものは、大田区(以下区という。)の産業と経済の中心的な担い手であり、区の産業と経済の発展に寄与し、区民生活の安定と向上、雇用確保、街づくりに貢献してきた。中小企業者が今後とも変わることなくその使命を果たすとともに働くものの職場と生活を守るための基本的な諸施策を示すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、区における中小企業、小規模企業及びその従業員の存在と役割にかんがみ、中小企業及び小規模企業の振興の基本となる事項を定めることにより、中小企業及び小規模企業と地域経済の健全な発展と区民福祉の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「中小企業、小規模企業とは、次に掲げる場合において当該各号に掲げるものをいう。
(1)中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第二条第一項に規定する中小企業者をいう。
(2)小規模企業者 小規模企業振興基本法に規定する小規模事業者をいう。
(3)大企業者 中小企業者以外の事業者(会社および個人に限る)をいう。
(4)中小企業関係団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会、労働団体その他中小企業及び小規模企業に関する団体をいう。
(5)金融機関等 銀行、信用金庫、信用協同組合その他金融業を行う者及び信用保証協会をいう。
(基本理念)
第3条 この条例の目的を達成するための基本的な理念は次の通りである。
(1)中小企業・小規模企業の振興は、中小企業者による経営の改善及び向上を図るための自主的な努力を促進することを旨として推進されなければならない。
(2)中小企業の振興は、中小企業者が多様な分野における特色ある事業活動を通じて、地域経済の活性化を促進し、就業の機会を増大させる等地域社会の発展及び地域住民の生活の向上に貢献する重要な存在であるという認識の下に推進されなければならない。
(3)中小企業の振興は、区、中小企業者、中小企業関係団体、金融機関等、大企業者、等が相互に連携し、及び協力することにより推進されなければならない。
(4)小規模企業の振興は小規模企業振興基本法に基づき、小規模企業者の経営の規模及び形態を踏まえて、その経営資源の有効な活用が図られるとともに、多様な主体との連携及び協力により、その事業の持続的な成長発展につながるように推進されなければならない。
(区の責務及び施策の基本方針)
第4条 区は前条の基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に実施する責務を有する。
2 区は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するものとする。
(1)中小企業・小規模企業の経営基盤の強化、取引の適正化及び事業継承の円滑化を図ること。
(2)中小企業・小規模企業の創業の促進を図ること。
(3)中小企業・小規模企業の販路開拓の促進を図ること。
(4)中小企業・小規模企業の国際的視点に立った事業展開の促進を図るこ
と。
(5)中小企業・小規模企業の資金調達の円滑化を図ること。
(6)中小企業・小規模企業の人材の確保及び育成を図ること。
(7)中小企業・小規模企業における働きやすい職場環境の円滑化や整備の促進を図ること。
(8)中小企業・小規模企業における新たな技術の開発及びサービスの創出並びに知的財産の保護および活用の促進を図ること。
(9)区内工業集積、自然環境等の地域の特性および資源を生かした中小企業・小規模企業の事業活動の促進を図ること。
(10)小売り商業者又はサービス業者による商店街その他の商業の集積の活性化を促進するため、商店街等が実施する事業の支援や顧客その他地域住民の利便の増進を図ること。
(中小企業・小規模企業の責務)
第5条 中小企業・小規模企業は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に即応してその事業の成長発展を図るため、自主的にその経営の改善及び向上を図るよう努めるものとする。
2 中小企業・小規模企業は、人材の育成及び雇用環境の整備に努めるものとする。
(中小企業・小規模企業関係団体の協力)
第6条 中小企業・小規模企業関係団体は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の協力経営の改善及び向上に対して、主体的かつ積極的に取り組むとともに、区が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(金融機関等の協力)
第7条 金融機関等は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業に対し、資金の円滑な供給、経営の支援その他の必要な協力を行うとともに、区が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大企業の協力)
第8条 大企業者は、基本理念にのっとり、区民生活並びに地域の経済及び社会において重要な存在である中小企業・小規模企業の事業活動について理解を深めるとともに、区が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(中小企業・小規模企業の努力および区民の協力)
第9条 区民は中小企業・小規模企業の振興の重要性について理解を深めるとともに、区が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施及び当該実施状況等の検証に当たっては、中小企業・小規模企業関係団体等の意見を聞き、施策に反映するよう努めるものとする。中小企業者・小規模企業者は、経営基盤の強化と従業員の雇用確保、福利厚生のために自主的努力をはらい、あわせて地域の経済と生活環境との調和に充分に配慮しなければならない
(中小企業・小規模企業の意見の反映)
第10条 区は、中小企業・小規模企業が地域に寄与し、区経済へ貢献していることを理解し、その健全な発展に協力するように努めるものとする。
(区長の責務)
第11条 区長は、前条の施策を実施するにあたっては、次の措置を講ずるとともに、区民、消費者の保護に配慮しなければならない。
(1) 区は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(2)特に従業員数9人以下(商業は4人以下)の事業所とその従業員にたいして必要な考慮をはらうこと
(3)区内の大企業がその工場、事務所、店舗その他の経営拠点を縮小、閉鎖、移転、拡大または新規展開する場合の中小企業・小規模企業および従業員が受ける影響調査を行うこと。
(4)中小企業者・小規模企業者およびその従業員に重大な損害を与え、または与えるおそれがある場合、それを是正または未然に防止するための区内の大企業者に対する指導、勧告および要請をする。
(5)中小企業者・小規模企業者の資金を確保するための、国、東京都、金融機関および信用保証協会に対する要請ならびに区の融資制度の充実をはかる。
(6)区の物品、役務などの調達に関し、「中小企業者・小規模企業者」の受注機会の増大を特別に図るための施策を充実させる。
(委任)
第12条 この条例の施行について必要な事項は、別に区長が定める。
付則
この条例は、公布の日から施行する。
(提案理由)
国が小規模企業振興法を定め、都が東京都中小企業・小規模企業振興条例を制定したことにより大田区の「大田区産業のまちづくり条令」にない小規模企業を加えて実情に合った条例にする必要があるため、提案するものです。